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(4) 永遠に生きると思って学びなさい。

 

 ガンジーの言葉です。

 人間は所詮限りある命を与えられた生命体の一つにしかすぎません。しかし、その限りある命を持つ人間には、「学ぶ」力が、他の生命体よりも多く備わっています。

 そういう意味で、この言葉は、人が生きる上で、大切なことを語っていると思っているのです。

 

 学んだ人間というのは、当たり前のことですが、その言葉や立ち居振る舞いに、深さとか、重さとかをうかがい知ることできます。

 学問を学んだ人も、実生活で学んだ人も、それは共通して伺うことができるのです。

 

 しかし、学ぶということが幾分軽薄化している、もっと、具体的に言えば、学ぶことで資格を与えられ、それが利益に繋がると考えている嫌いが見えている気がしてならないのです。

 

 その例にお坊さんをあげることにいささか恐縮するのですが、でも、お坊さんがますます学びに没頭していけるようにという思いを込めてあえて語りたいと思います。

 

 哲学も、理念も、人の心を救う説教も、それを語ることのできないお坊さんが多くなっている、と私は思っているのです。

 哲学や理念をもち、深い思慮を持つお坊さんは、何も語らなくても、そのお姿を見るだけで、自然と頭がさがるはずです。

 しかし、今、お坊さんの言動に、利欲を垣間見てしまうことが多いのです。

 

 人から尊敬され、一目置かれる立場にある人に必要なのは、何かに取り憑かれたように「学ぶ」という姿勢です。

 さすれば、その姿だけで、多くの人の敬愛を受けることになるのです。

 

 実は、それは、教師についても言えます。

 

 教師というのは、生徒の目線にあって、指導することが肝要であることは言うまでもありませんが、生徒と同じ場にあってはならないのです。

 生徒の目線でものを見て行く上で、教師は腰を落としますが、生徒と同じようにその場に腰をかけてはならないのです。

 何故ならば、教師は生徒を指導し、学ばせる人間だからです。

 そのために、教師は学ぶ生徒とは異なる次元で存在をしていなくてはならないと生徒に思わせなくてはならないからです。

 そうすることで、生徒の教師に対する敬意が示され、学びは深まるのです。

 

 あの先生がいるだけで、生徒たちがピシッとするとよく言われますが、それはその教師が放つ学びの姿がそこにあるからです。

 生徒たちは、その姿に畏敬の念を抱くのです。

 そうした教師がいるところでは、バカな事件は起きません。

 

 生徒と同じ場に腰を下ろし、生徒を指導できなくなってしまった教師のところで問題は起こるのです。

 

 お坊さんも先生も、学びをしないものは淘汰されていかねばなりません。

 でないと、日本から仏教の教えも、教育の真髄も消えてなくなってしまいます。

 

 実は、「永遠に生きると思って学びなさい。」の前に、「明日死ぬと思って生きなさい。」と言う言葉を、ガンジーは語っています。

 

 これも含蓄のある言葉です。

 

 でも、実際のところ、明日死ぬなんて、人間は誰も思わないでしょう。

 病を得て、病院のベットに横たわっている私、明日には、いや、数十分後には、亡くなるとは決して、思わないと思うのです。

 

 昔、トルストイの『戦争と平和』に執心して、熱心に読んていた時期があります。

 

 その中で、どうしてもわからない部分がありました。

 それは、死の床についた老人の前に、ロシア正教の牧師がやってきて、振り香炉を揺らしながら祈祷します。それを後ろで悲しそうに眺める家族がいます。

 人は、そうやって、自らの死を受け止め、死に行くものなのだろうか、と若い私は思っていたのです。

 

 私は、父や母をおくりましたが、父も母も、自分が死ぬとは思っていなかったような気がしてならないのです。

 明日には家に帰れる、帰ったら、あれをしなくてはいけないと語っていたことが、そう思わせるのです。

 

 自らの命の限りを悟り、粛々として、死の床につけることには、キリスト教特有の死生観がそこにあるらしいと、私は思っているのです。

 自分は死に、神の元に行く。

 それは素晴らしいことで、これまでの生きてきた時を懐かしみ、愛する人に感謝を捧げるのです。

 

 そういう心境を、キリスト者ではない、東洋人のガンジーが持てたことは素晴らしいと思うのです。

 

 私たちは、いつかは死ぬ身です。

 その時を蕭蕭として迎えられるように心構えをしておく、そして、その心構えを作る学びをしっかりとしてくというのが、肝要だと思っているのです。

 できるならば、引導を渡してくれるお坊さんに恵まれること、学びの真髄を伝えてくれる先生に会えることも人生では大切だと思っているのです。

 


奥付



永遠に生きると思って学びなさい。


http://p.booklog.jp/book/116749


著者 : nkgwhiro
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