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 瑞恵は、しっかり目を見開いてうなずいた。「兄の死の真相がわかるまで、とことん、捜査してください。警察を疑って、申し訳ありませんでした」伊達は、さらに念を押すことにした。「今後、仲間の特命捜査官が、対馬の警察官を連れて、このクラブに飲みに来ます。彼らからも、情報をとるためです。でも、警察官だからといって、安易に彼らを信用しないでください」今、警察官を信用してくださいといったかと思ったら、信用しないで下さいという。瑞恵は、何が何だか分からなくなってきたが、マスターを信用して、指示に従うとにした。「はい。マスターだけを信用すればいいのですね。早速、私は、何をやったらいいのでしょうか?」

 

 やる気満々の瑞恵に笑いが込み上げてきた。「まあ、そうはやらずに。知りたいことは、お客の人間関係です。瑞恵さんがついたお客の人間関係をできる限り報告してください。それだけで、いいのです。決して、単独行動はしないように。そう、瑞恵さんは、歌がとても上手だとか?」カラオケが大好きな瑞恵は、ドヤ顔で返事した。「はい。カラオケ、大好きなんです。昭和の歌から、平成の歌まで、どんな歌でも歌えます。任せてください」カラオケと聞いて、ひろ子のことを思い出した。「へ~~、頼もしいですね。そう、知り合いのタクシー運転手に、カラオケ女王がいるんですよ。いずれ、紹介しますよ」カラオケ女王といえば、対馬の歌姫、ひろ子女王しかいないと思った。「まさか、カラオケ女王って、対馬の歌姫、ひろ子女王ですか?」

 

 対馬の歌姫と聞いて、伊達は、ひろ子の知名度に驚いた。「ひろ子女王って、有名人なんですね」瑞恵は、自慢げに話し始めた。「対馬で、ひろ子さんを知らない人はいませんよ。ひろ子さん、子供のころから、対馬の歌姫で、兄と同級生だったんです。ぜひ、お会いしたいです。特に、水の星に愛をこめて、最高です。なんて、幸運なんだろ。マスターもカラオケ女王のファンなんですか?」ちょっと、返事に困ったが、そういうことにして置くことにした。「まあ~、そうです。瑞恵さんは、どんな歌が、得意なんですか?」目を輝かせた瑞恵は、即座に返事した。「”そんなヒロシに騙されて”、です。昭和の歌です。ご存知ですか?」伊達は、聞いたことがなかった。頭をかきながら返事した。「いや、聞いたことがありません。一度、聞かせてください。楽しみにしています。もう、そろそろ、お客が増えるころです。仕事に入ってください」ニコッと笑顔を浮かべた瑞恵は、ウインクをして部屋を出ていった。

 

 


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