目次
目次
はじめに
第1章 採用内定から試用期間
1.内定プロセス
2.採用予定者と採用決定者
3.内定取消の効果
4.内定取消のための正当な理由
5.学生や中途採用者などの内定者が辞退する場合
6.必要書類の不提出は問題
7.自己責任と就業機会の増加
8、試用期間
9.試用期間の長さ
10.本採用ができない場合の対応
11.本採用しない場合の正当な事由
12.試用期間企業に求められる条件
第2章 労働契約
13.就業規則と労働契約
14.労働条件の明示
15.文書交付による明示事項
16.文書交付と労働契約の締結時期
17.期間の定めがない契約と期間の定めがある契約(有期雇用契約)
第3章 会社生活における基本的法律関係
18.21世紀における企業活動と組織
19.会社生活の法的基本
20.労働義務
21.業務命令
22.会社秩序
23.施設管理権
24.人事権
25.企業の保護配慮責任と義務
26.企業と社員の信頼関係(信義誠実の原則)
27.守秘義務
28.兼業禁止
29.協力義務
第4章 給料に関する知識
30.給料支払の原則
31.給与(賃金)の定義
32.旅費・日当
33.労基法の賃金支払5原則
34.男女同一賃金
35.定期昇給と賞与支給
36.退職金
37.割増賃金
第5章 労働時間に関する知識
38.労働時間
39.企業の労働時間と労基法の労働時間
40.労働時間のはじまりとおわり
41.所定労働時間と法定労働時間
42.実労働時間主義と始終業時間主義
43.労働時間制度(1)
43.労働時間制度(2)
44.労働時間の考え方
第6章 休憩時間に関する知識
45.休憩時間の原則
第7章 休日関する知識
46.休日と休暇の違い
47.法定休日
48.代休と振替え休日
第8章 時間外・休日労働に関する知識
49.時間外労働と休日労働
50.時間外労働と休日労働の延長
51.時間外・休日労働の適用除外者
第9章 休暇に関する知識
52.休暇の基本的な考え方
53.年次有給休暇の日数
54.年次有給休暇取得における課題
55.年次有給休暇の計画取得
56.法定年休と会社年休の優先順位
第10章 育児・介護休暇に関する知識
57.育児・介護休暇における基本的課題
第11章 人事異動に関する知識
58.人事異動
59.昇格と降格
第12章 退職・解雇に関する知識
60.退職と解雇
61.退職願に関する基本的な知識
62.解雇に関する基本的な知識
あとがき
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目次

はしがき
第1章 採用内定から試用期間
  1.内定プロセス
  2.採用予定者と採用決定者
  3.内定取消の効果
  4.内定取消のための正当な理由
  5.学生が辞退する場合
  6.必要書類の不提出は問題
  7.自己責任と就業機会の増加
  8.試用期間
  9.試用期間の長さ
   10.本採用ができない場合の対応
   11.本採用しない場合の正当な事由
   12.試用期間企業に求められる条件
第2章 労働契約
   13.就業規則と労働契約
   14.労働条件の明示
   15.文書交付による明示事項
   16.文書交付と労働契約の締結時期
   17.期間の定めがない契約と期間の定めがある契約(有期雇用契約)
第3章 会社生活における基本的法律関係
   18.21世紀における企業活動と組織 
   19.会社生活の法的基本
   20.労働義務
   21.業務命令
   22.会社秩序
   23.施設管理権
   24.人事権
   25.企業の保護配慮責任と義務
   26.企業と社員の信頼関係(信義誠実の原則)
   27.守秘義務
   30.兼業禁止
   31.協力義務
第4章 給料に関する知識
   30.給料支払の原則
   31.給料(賃金)の定義
   32.旅費・日当
   33.労基法の賃金支払5原則
   34.男女同一賃金
  35.定期昇給と賞与支給
  36.退職金
  37.割増賃金
第5章 労働時間に関する知識
  38.労働時間
  39.企業の労働時間と労基法の労働時間
  40.労働時間のはじまりとおわり
  41.所定労働時間と法定労働時間
  42.実労働時間主義と始終業時間主義
  43.労働時間制度
  44.労働時間の考え方
第6章 休憩時間に関する知識
  45.休憩時間の原則
第7章 休日関する知識
  46.休日と休暇の違い
  47.法定休日
  48.代休と振替え休日
第8章 時間外・休日労働に関する知識
  49.時間外労働と休日労働
  50.時間外労働と休日労働の延長
  51.時間外・休日労働の適用除外者
第9章 休暇に関する知識
  52.休暇の基本的な考え方
  53.年次有給休暇の日数
  54.年次有給休暇取得における問題点
  55.年次有給休暇の計画取得
  56.法定年休と会社年休の優先順位
第10章 育児・介護休暇に関する知識
  57.育児・介護休暇における基本的課題
第11章 人事異動に関する知識
  58.人事異動
  59.昇格と降格
第12章 退職・解雇に関する知識
  60.退職と解雇
  61.退職願に関する基本的な知識
  62.解雇に関する基本的な知識
あとがき


1
最終更新日 : 2011-08-29 18:13:59

はじめに

                        就活から退職(+転職)まで

自分と会社を成長させる62の就業ルール

                               

はじめに


私は、仕事におけるマネジメントと法律の関係について、人事担当者として、また現場の疑問に答える立場にあった者として、時として苛立ちを覚え、あるいは面倒くささから中途半端な解決策を出してしまったことが多々あったように思う。日常業務は、なんといっても法律のひとつひとつを意識してやるほど悠長な時間はなく忙しいものである。また、企業における毎日の仕事は、法律を眺めているわけではないし、突然法律に出くわすとついついこんな法律がいるのか、と思ったりもする。その大きな理由のひとつは、実務、いわば企業における日常活動と法律の間にある深い溝のようなものを感ずるからだろう。もう少し企業の日常活動と法律が密着したものにならないか、と長年ずっと考えていたことが、本書を執筆しようと思った動機である。

私は、新卒で入社した山陽スコット株)において約11年間営業として勤務し、その後ソニーシステムサービス(株)、「現ソニービジネスソリューション(株)」等に勤務しながら約21年間総務・人事を担当してきた。また、その間ソニーシステムサービス(株)において3年間ほど経理の経験をさせてもらった。

私が、はじめて会社へ入社した営業職時代、もっとも疑問に思っていたことは、事務職はタイムカードを押して時間を管理し、残業であれば残業代がついた。他方、営業職はといえば、タイムカードを押すといった時間管理はなかったが、終業時間後、仕事をおこなっても原則残業代がつくことがないということだった。

当時、この疑問に答えてくれる上司や先輩達はひとりもいなかった。

また、そのような疑問をもつような雰囲気そのものが社内になかったように思う。

「営業なんてこんなものさ」という言う先輩の言葉には、どこか投げやりなものを感じたものである。

私は、「なんでだろう」という疑問を一層強く深くもつようになった。なんだか残業代をけちられて無給の長時間労働をさせられているのではないか、といった不満が漠然と生まれていたように思う。一方で、どうしてこのような異なった処遇をおこなうことができるのか、という素朴な疑問を持ちつづけていた。

このような処遇をすることが可能だということを知ったのは、ソニーシステムサービス(株)に転職をして、自分で就業規則を作るチャンスに恵まれたからである。すでに会社生活は、12年を過ぎ去ろうとしていた。

  最初の疑問は、いわゆる「事業外労働のみなし労働時間制」とう規定に基づいているのだが、簡単に言えば、営業の場合、通常事務所以外の外で仕事をすることが大半なのだから会社は社員の時間管理をおこなうことが事実上できない。したがって、このような場合、所定労働時間、いわゆる会社で決められた時間、すなわち1日 8時間といった勤務すべき約束した労働時間に関して仕事をしたものと捉えているのである。会社は、毎日タイムカードを押すなどといった労働時間の管理はしないけど、社員が1日 8時間の仕事をおこなったと判定している。労働時間の管理方法が、職種によって異なる運用がなされているということだ。

 話は変わるが、本年4月労働基準法の大幅な改正がなされた。今回は、「少子高齢化の進行」「労働力人口の減少」「子育て世代の男性を中心とした長時間労働の増加」などの問題が顕在化し、その解決手段としての「社会と生活の調和のとれた社会実現」「労働者の健康確保」「長時間労働の抑制」などを背景として改正され、「労働時間管理」が重要なポイントになっている。

 今回の改正労基法の概要と重要なポイントになる労働時間管理について簡単に記しておきたい。

 今回の改正の概要は、次の4つである。

 1.特別条項付き36協定の必要要件の追加

 2.1ヶ月60時間を超える時間外労働の割増賃金率アップ

 3.代替休暇制度の導入

 4.時間単位年休制度の導入

 特徴は、改正内容が全て「時間」に関わる部分であることだ。この改正に伴い、今後、労働基準監督署の調査が行われる際も、労働時間管理について今まで以上に厳しく指摘されることが想定さる。

 次に労働時間管理について簡単に説明する。

 労働時間の適正把握に関して、毎日の始業・終業時刻の確認を、タイムカード、IDカード、パソコン入力などの電子媒体などを使って客観的に管理・記録している事業所が多くなってきているが、そのような電子媒体による管理ではなく、MicrosoftExcel等の表計算ファイルや紙媒体などで自己申告により確認を行っている場合、厚生労働省は、以下の措置を講じなければならないと通達が出されている。

(1)労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことについて、従業員に対

   して十分な説明を行うこと

(2)自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致してるか否かにつき、必

   要に応じて実態調査をすること

(3)時間外労働の時間数に上限を設定するなどの措置を講じたり、慣習を作らないこと

 表計算ファイルや紙媒体により勤怠管理をしている場合、上記3つについて確認が行われることが想定されるので、十分注意する必要がある。

現在、労働基準法は、労働時間を1日8時間、1週間 40時間労働と規定しており、これが労働基準法の根本原則である。

企業は、労働基準法を最低の基準(強行規定)として社員の労働条件と会社の規律、いわば服務規定等を作成している。もっとも労働基準法を超える規定を定めることは、法定以上に高い処遇をすることであるからして多いに結構なことである。

私が、労働基準法の基本原則が理解できるようになったのは、ソニーシステムサービス(株)で総務、人事の仕事に携わったからであり、さらに毎日の実務において、現場スタッフとのやりとりの中から労働基準法にまつわる非常に多くの課題に直面したからでもある。仕事を遂行する上で、法律と仕事がどのようなかかわり方をし、現場業務のあり方と、どう結びつくのかということは、つくづく難しいものだと、肌で感じた。

本書は、このような経験をとおして労働基準法を実務の視点から見直し、できる限り実践的に、特に私が体験した具体例を交えて、しかもわかりやすく展開することを主眼においた。法律と実務を結びつけて就職活動から退職まで62のポイントにした上で、やさしく展開したつもりである。

就活をしている大学生や新入社員から現場のマネジメントをおこなう上司のみなさんまで、是非読んでいただきたい。法律と業務遂行との間にあるわかりにくい壁が少しでもなくなるように、社員であるみなさんが未来に向かって生き生きと仕事に励んでもらるようになっていただければ、筆者にとってこの上ない喜びである。

最後に、本書を読んでいただいた皆様が理解できないとなれば筆者の責任であり、また筆者の勉強不足、経験不足を深くお詫びする。

是非、お叱りの言葉をいただきたい。

尚、本書を書くにあたっては、あとがきにも書かせていただいたが、約17年の長きにわたり学んできた弁護士安西愈氏の著書「トップ・ミドルまでの採用から退職までの法律知識」をベースにさせていただいた。

多くの企業で人事労務の実務をおこなってきた私は、安西弁護士の著書に基づき、必死なって実践してきた自負がある。私の会社生活は、安西弁護士とこの本との出会いがあったからこそ、充実した人事労務の仕事ができたと、心から実感している。

最後になるが、私が、安西弁護士と直接お会いできたのは、1993年頃セミナーの5日間だけだったが、その後、安西先生の著書(パートナー)と二人で歩きながらいろいろな困難を克服し、すばらしい人生を与えてもらったと思う。本書を借りて安西弁護士と著書に心から感謝の言葉を申し上げたい。

 20118

                                                                   著   者


2
最終更新日 : 2011-08-29 18:16:53

1.内定プロセス

入社試験を突破して希望する会社に内定をもらったみなさんは、「やれやれ、これでやっと会社が決まった」とほっとしていることだろう。企業から内定者への連絡は、電話、あるいは文書で通知(内定通知)をおこなうことが普通である。電話だけだと本当に内定なのかどうか、一抹の不安があるものだ。

私が新卒として入社した企業では、内定通知書が郵送されてきたから間違いなく「採用試験に合格」したということが確認できた。その後転職したソニーシステムサービス株式会社では、新卒入社試験の場合、前著『ボクの仕事は「ソニー」スタイル』でも若干書いたが、試験後直ちに合否判定をおこないその日の夜には合格者に電話連絡をおこなっていた。入社試験は、およそ4~6月の間におこない内定通知は、文書ではなく電話連絡で実施していた。当然だが、学生の立場からすれば文書でもらった方が安心だろう。

では、どうして企業によってこのように異なった対応をおこなうのか。

その前に口頭で通知することは違法なのだろうか。結論から言えば、違法ではないし、法律上なんら問題はない。

実は、内定通知後に実施する必要書類の提出等があった場合に、法律上大きな違いが発生する。



3
最終更新日 : 2011-08-29 18:19:55

2.採用予定者と採用決定者

法律以前の意味として「採用内定者」とは、一般的には企業が、高校や大学など学校卒業予定者から求人選考をおこなった上、採用を決定した者であり今だ在学中で就労日が到来していない者の総称とされる。

実は、ここがポイントなのだが、この採用内定者には法律的に二種類がある。ひとつは「採用予定者」であり、もうひとつは「採用決定者」である。

では、「採用予定者」とはなにか。前述の内定通知のところに戻ってみょう。口頭で内定通知をもらい、あるいは内定通知書をもらったと書いたが、「採用予定者」とは、まさに口頭で内定通知をもらい、あるいは書類で内定通知書をもらった者をいうのである。この場合、内定通知は確定的合意ではなく、後日正式な採用手続きが残されているのが普通であり、いわば単に内定通知(内々定)をしたにすぎない。

内々定とは、就職を希望する新規学卒者などに対して企業が出す非公式の採用予定通知とされる。法律上、今だ「労働契約の締結(成立)」は、この時点ではなされていないのである。人事部では、先ずこの手順を踏んで採用者に連絡をおこなう。しかも大きな意味がある。その意味については、後述する。

次に「採用決定者」とはなにか。

前記内定通知の手続きを経て必要書類の提出(具体的には誓約書の提出などがある)や入社日の通知、あるいは入社前研修の開始等、会社が「採用確定の意思表示」をしてはじめて採用の決定があったとされ、法律上の労働契約の締結(成立)があったとされる。

実際の企業実務では、2010年度内定式等をおこないその席で正式な内定通知書や入社までのスケジュール、その他入社に必要な書類を渡したり、後日郵送したりしている。企業は、これら具体的な対応をすることで「採用確定の意思表示」をおこなっていることになる。知らずに参加していただろうが、法律上大きな違いがある。



4
最終更新日 : 2011-08-29 18:20:57

3.内定取消の効果

では、なぜこのように面倒な手順を踏むかといえば、答えは、簡単である。

採用内定取消の法律的効果に大きな違いがあるからだ。

具体的には、「採用予定者」の場合は「労働契約の成立」がないのであるから、その取消に対する責任は、金銭賠償で解決することが可能であり、近年の判例では内定取消無効事件で100万円の慰謝料が認められたケースがある。

他方、「採用決定者」の場合は、「労働契約の成立」があるのだから「採用決定者」の取消は「労働契約の解約」となり、原則として「解雇」に該当し、労働法上の問題となり合理的とされる正当な理由が必要になる。

従って簡単に取消ができないことになる。

企業は、このような観点から手間はかかるが、法的な手順を踏んで採用業務を実施している。

実態は、前述したように法律的意味を理解していない担当者が知らず知らずのうちに内定通知および内定式をやっているのではないだろうか。しかし、一旦トラブルが発生すると企業は、同じ取消でも法律効果においてまったく異なった対応が求められることになる。


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最終更新日 : 2011-08-29 18:21:44


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