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文 : 平 格彦      
写真 : 田中 潔      










 空港で芽生えた恋の行先 (PEUGEOT 308)



チケットを無くして困っている僕を見て、
微笑みながら誠実に対応してくれた君。
今思えば、仕事だから当たり前のことだったのかもしれない。
でも、その時は不思議と特別な優しさに感じたんだ。

気が付けばいつも一緒。
飛行機で海を渡って歴史的な建造物に触れたり、
ドライブ先の高原で大きなサンルーフから星を眺めたり…。
君の旅行好きも、すっかり僕にうつったたみたいだ。
今では、旅のプランを提案するのも僕の役目になっているようだし(笑)。

突然だけど、明日は“人生”という
これまでにない長い旅行に誘おうと思う。
君の左手の薬指にぴったりなチケットだから、
無くすことはないはずだよね。


 世界は広がり続ける (smart)


 いつも家にこもってゲームばかりしていた
 僕の世界を広げてくれたのは君だった。
 提案はいつもぶっきら棒で、 僕の返事を待たずに決定してしまうのが常。
 東京でいちばん人気のある山を登ったり、 鎌倉のパワースポットへ癒されに行ったり…。

 実は、移動中くらいはふたりきりになりたくて、
 運転が得意じゃない僕でも乗りやすい、コンパクトな「smart」を買ったんだ。
 でもその結果、君の行動意欲をさらに刺激してしまったみたい(笑)。
 僕にとっては近所の脇道だって未開の地なのに、ふたりのテリトリーは拡大を続けている。

 いつも君に導かれてばかりだったけど、今回だけは僕の意志で君を連れ出したい。
 生涯続く“結婚生活”という未知の世界へ。




 癒してくれる優しい空気 (Ractis)



メジャーデビューを夢見ながら、バンド活動と会社員を両立する毎日。
疲労困憊だった僕に元気をくれたのが、
メンバーの紹介でマネージャーを買って出てくれた君だった。
くだらない愚痴を聞いてくれる優しい笑顔に何度癒されたことか。

休日出勤の君を迎え行くこともよくあったね。
たとえ待たされたとしても苦じゃなかった。
ラクティスの意外なほど広い車内は僕専用のスタジオだったんだ。
そうして生まれた曲でデビューが決まるなんて(笑)。

いつも公園や森や山に連れていくのは、
緑のように朗らかな存在が僕にとって何より大切だから。
君が生涯そばにいてくれたら、どんなに素敵だろう。
そんな想いをこめて完成した新曲。この場所で今から歌います…



 盗まれたものは!? (Fiat 500)


彼女はスタジオジブリというか、宮崎駿の映画が大好き。 
一方の僕はルパン三世の大ファン。 
ということで、どのクルマを買おうかと相談してすぐに、 
ふたりの意見は一致した。 
 
「フィアット500」(通称「チンク」)は、宮崎駿が映画デビューを果たした 
『ルパン三世 カリオストロの城』で大活躍。 
作品を見て以来、いつか愛車にしたいと思っていたんだ。 
 
僕たちが付き合うことになったのも、映画の話で盛り上がったのがきっかけ。 
今では毎週のように映画館に通っている。 
ふと気付けば、僕の心はすっかり彼女に盗まれていた。 
ずっと一緒にいてくれれば、取り戻す必要はないね。 




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