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01まえがき


まえがき


 
「実力強化キャンペーン! 掌編がみるみる上手くなる感想大会」とは何か!
 
 「実力強化キャンペーン! 掌編がみるみる上手くなる感想大会」とは、一般的に行われている完成された作品を競い合う大会ではなく、作品への感想を競い合うという今までに無い新しいタイプの大会です。
 
 感想を書くというのは、骨の折れる作業です。ただ「素晴らしかった」「感動した」では感想になりません。実のある感想を書こうと思うと、「なぜ、この作品を素晴らしいと感じたのか」「なぜ、この作品に感動したのだろうか」という分析が必要です。
 他人の作品に感想を付けるということは、とりもなおさず、その作品の良さを自分の物にするチャンスなのです。真剣になればなるほど、その作品を深く掘り下げ、または欠点を探すことになります。どこが良くて、どこが悪かったのか。この作品をさらに良くするには、どう改善すればよいのか。考えることは幾重にも及びます。
 だからこそ感想を書くのはいい勉強ですよ、と薦めてもリアルな感想を書くひとはほとんどいません。酷評して人間関係を壊したらどうしようとか、場違いな感想を付けてバカにされないだろうかという恐れが先にたちます。
 ということで、いっそうのこと、感想大会にしたらどうだろう? というのがこの大会を開催した目的です。あくまで大会です。大会だと割り切れば、素直な感想を書けるはずです。
 そして、結果はぼくが考えていた通りになりました。みなさん、素晴らしい感想を寄せていただきました。
 
 この大会における成果を、ぼくのブログの記事だけに留めておくのはあまりにもったいない。感想の中に創作者たちでシェアすべき技術が重箱のように詰まっています。
 そこで、さらに僕がひと汗掻いて、感想大会の全てを記録に残すべく電子書籍にすることにしました。皆さんが真剣に書かれた感想を読み、意図するところを理解すれば、自然と様々な技術が身についていきます。この小冊子が、実践的創作者のよき手引きとなることを確信しています。リアルな意見が、この中に満載されています。無料でいいのかと思うぐらいです。
 すばらしい表紙は大会参加者のNAGATAさんが描いてくださいました。この場を借りて、感謝申し上げます。

  
 最後になりますが、次回大会に参加したいと思われる希望者のために、参考として本大会開催告知の一部を添付いたしました。こちらをお読みいただければ、大会の流れから募集要項まで理解できると思います。回数を重ねていったとしても、細かいところはさておき、基本的なシステムは変更しないつもりです。
 
 それでは、皆様のよき創作ライフの手助けと、ささやかな目標になることを願いまして。
 
平成23年9月吉日
 
【サイトーブログ】
 

http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/
 
【サイトーメルマガ】
 
http://www.arasuji.com/saitomagazine.html
 

02表彰者の発表


表彰者の発表!


 節電のおり、うだるように暑い夏休みをさらに熱くした「掌編がみるみる上手くなる感想大会」も、いよいよ最後のお知らせになりました。お楽しみの受賞者の発表です。
 みなさん大会の主旨をご理解いただき、濃厚で的確な感想ばかりで嬉しい限りです。予想を超えるハイレベルな激戦となり、選考にはずいぶんと悩まされました。
 しかし、終わってしまえば全ては素晴らしい思い出です。
 ということで、受賞者のお名前を掲載いたします!

 
・ベスト感想賞  海野久実さん(『五人のパパ』+αへの感想)
【海野久実さんのHP】 
http://marinegumi.exblog.jp/
 ベスト感想賞は最もすぐれた感想に対して表彰いたします。
 候補が多くて困ったのですが、この大会の主旨を考えて、作品に対する指摘が的確であり、かつ、特に改善案が優れている感想に贈ることにしました。海野久実さんが『五人のパパ』+αの改善案として提示された「卵子が人間の主体であった!」というのは、生半可な発想ではないと思います。このアイディアひとつで、様々な物語が生まれそうです。そこで、ベスト感想賞は海野久実さんに贈りたいと思います。
 海野さんには、ぜひともこのアイディアでオリジナル作品を書いて欲しいです!

 

・ベスト感想人賞 1人 川越敏司さん
【川越敏司さんのHP】 
http://www.fun.ac.jp/~kawagoe/sakuhin.html
 5作品トータル(自作が採用されている方は自作を除く4作品)で、最もすぐれた感想を書いた人を表彰します。
 何事にも言えますが、先陣を切るのは難しくて勇気のいることだと思います。その困難な仕事を、川越敏司さんが積極的に引き受けてくれました。しかも内容・質ともに濃厚な感想を残してくださったことから、後に続く人たちの指針となり、全体をリードしてくださいました。
 感想大会がここまでハイレベルになったのは、川越敏司さんの功績が大きいと思います。その功績を大いに讃えるためにも、ベスト感想人賞は川越敏司さんに贈呈いたします!

 

・ベスト作品賞 1人 『陰取』(東雲凛さん)
 ベスト作品賞は、もっとも熱い感想を集めた作品を表彰します。感想の数ではなく、内容で判断します。
 実は、3賞のうち、ベスト作品賞が一番悩みました。熱い感想を集めた作品と、最も優れている作品をそれぞれ表彰すればよかったと、今更ながら後悔しています。
 今回は涙を呑んで、”熱い感想を集めた作品”という観点のみで選考した結果、『影取』を受賞作品としたいと思います。
 感想を読んでも分かるように、本作は基本的な構成はよくできていると思います。それだけに、皆さん細かい辻褄に目が向けられて、そこから新しいアイディアや、様々な改善案が提示されました。感想にも皆さんの作風が表れていて、とても面白かったです。感想にも個性を引き出してくれる作品だと思います。
 本作は、多くの方に感想を書く切欠を与えてくれたと思います! 

 


03『微分と積分』 夏目みい子


『微分と積分』 夏目みい子


記事URL
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-07-28

 

 本作品についてですが、作者より、応募作品は習作段階であり、感想を元によりよい作品を完成させた上でお見せしたいとの意向がありましたので、今回は掲載を見送らせていただきます。
 作品をご覧になりたい方は、習作段階であることをご理解した上で、上記URLをクリックして下さい。



 


04『微分と積分』(夏目みい子さん) への感想


『微分と積分』(夏目みい子さん) への感想


夏目みい子さんの作品『微分と積分』 にコメントします。

タイトルから想像していたのとはずいぶん違った展開のお話だったので、よい意味で裏切られた感じで、楽しみながら読みました。

 

ドラえもんの道具ですと、「ガリバートンネル」あたりがアイディアの源泉なのでしょうか? 確かに微分・積分機で二次元と三次元を行き来できるというアイディアはとても素晴らしいと思います。

 

ただ、この作品の残念なところは、w博士と助手アイの性格や人間関係がそれほどメリハリをつけて描かれていない点です。もう少し言えば、アイの性格付けにあまり迫力を感じないところです。

 

アイは「名門貴族の娘にして、アニメオタク」で、「w博士も勝手が違うらしく、腫れ物に触るように扱う」ほど、誰にでも一目置かれている存在という設定ですが、どうして研究開発を日本のアニメから発想するほどの変人のw博士までが、勝手が違うと思うのでしょうか? どれだけ突拍子のないパワーをアイは秘めているのでしょうか? そのあたりが残念ながら伝わって来ないのです。コスプレくらいでは、大して変人とは思わないと思うのです。

 

ですので、どこかでアイのとんでもない傍若無人なエピソードを描いた方がよかったと思います。そのために、w博士をむしろ極めてまっとうな人物として描くことで、アイの突拍子のなさがより強調されて、ドラマとして面白くなったのではないかと思います。

 

例えば、w博士はしごく全うな科学者だが、その発明品を預かったアニメオタクのアイは、それをことごとく変な名称のトンデモ・メカに改造して納品してしまう。怒ったw博士や当局の担当者が問い詰めると逆切れして、「日本のアニメをバカにする気ですか!」とか、「オタクだからって色眼鏡で見ないでください!」とかすごい剣幕で怒りまくり、周囲をほとほと困らせしまう。ところがアイを助手から解任しようにも、家の権威と財力にものを言わせて抵抗するので上手くいかない。そこで、w博士は今度こそアイを手っ取り早く処分する方法を思いついた。それが微分・積分機だった。「これを使って二次元の世界に行けば、あんたの大好きなキャラと心行くまで楽しめるよ」こうして、二次元の絵になったアイをw博士はトイレに流した。。。みたいなお話です。

 

あと、細かいことを言えば、舞台を架空の国、α国にする必然性がどこにあったのか、これもあまり明快ではなかったような気がします。

 

それに、優遇されているはずの兵器開発の研究者であるw博士がちっとも優遇されているように見えないのも、問題だと思いました。優遇されているなら、たくさん助手を抱えていてもよさそうですし、色々な贅沢をしていてもよさそうですが、「ソバカスの散る化粧っ気のない顔」なのが、やはり不思議に感じます。あくまでw博士をマッドサイエンティストにするのなら、その設定と、優遇されているという設定をともに生かすように、w博士を造形すべきだったと思います。例えば、キャビアが大好物で、研究室の冷蔵庫にいつもぎっしり詰まっていないと気が済まないとか、変人ぶりと高級志向が合体した性格づけがほしかったところです。

 

微分・積分機というアイディアはとても素晴らしいと思いますので、キャラの造形にもっとメリハリを付ければ、きっともっとすばらしい作品になると思います。ぜひチャレンジしてみてください。

 

by 川越敏司 (2011-07-28 23:35)


基本的に川越さんと同じような感想です。

 

自分は理系出身で理系ネタでお話作ろうとしていたので、タイトルを見てやられたーと思ってしまいました。
でも思ってたのと違う展開だったのでほっとしつつ、おお、そうくるかーと思ってニヤニヤしてしまいました。

 

オタクな人が2次元・3次元というネタ自体は珍しくないですが、その変換に微分・積分を持ってきてるのが、おもしろいと思いました。

 

自分も主にキャラについて感想を述べます。

とりあえず最初にざっと読んだ印象では、博士も助手もどっちがどっちかわかりづらく感じました。
二度目に改めて読んでみたらわかりました。
自分がそのように感じてしまった理由としては、博士も助手も、キャラがかぶっているからだと思いました。
博士・・・変人・アニメから発想
助手・・・お嬢様・アニオタ

 

あと、ほとんどが説明で、エピソードがなかったので、キャラの印象が薄くなってしまったのではないかと思います。
字数制限があるので仕方ないかと思いますが、博士とお嬢様の関係性がわかるようなエピソードはちょっと入っていたほうが、オチも活きるのではないかと思いました。

 

というわけで、自分からの提案ですが、キャラの弱さを解消するために、博士に、助手の特徴も盛り込んでみてはどうでしょうか。
博士・・・お嬢様でタカビーな発明家でオタク。
助手・・・普通の人。博士に振り回される。ツッコミ役。
(川越さんとは逆の方向ですね)

 

博士は大好きな2次元キャラを3次元にするという欲望を抱いて機械を作ったけれど、助手は日ごろの鬱憤を晴らすために、博士を逆に2次元へ変換しようと目論んで・・・みたいな。

 

次元変換に微分積分を持ってくるという発想は、とてもいいと思います。
オチから先の展開も気になります。
それによっては、意外とこのままの設定でもいけるかも、なんて思いました。

 

by 藤川S (2011-07-29 01:22)


読んでまず思ったことは、発想力が刺激される作品だったいうこと。
微分積分機というアイテムがどんな使われ方をして、どんな事件を引き起こしてこの二人を引っ掻き回すのかという期待が、読者の読む意欲と想像力を上手く刺激しています。

 

それだけに、前半部の説明文と博士とアイの掛け合いが冗漫で蛇足気味に思えます。博士が微分積分機をアイに使おうと企むところで、オチがついてしまっていることも、その後どうなったのかが気になる分、残念に感じます。
いっそのこと、オチを冒頭に持ってきて博士によって二次元にされたアイが博士に復讐を誓い、二次元の体から元に戻ろうとする話でもよかったのではないかと思います。
二次元にされた生命はそのまま無生物として封印されてしまうのか?、それとも形は二次元だけどどういうわけか動いたり声を発したりできるのだろうか?、などなど面白い想像をかきたてる作品ですので、ぜひ微分積分機が使われた後の物語にすればよりテンポの良いメリハリを持った作品になるのではないでしょうか?

 

最後に、キャラクターの個性については、他の方々が詳しく言及しておられるので、私もその意見に概ね同意見です。
おたく属性はどちらか一方にして、もう一方は突っ込み役として機能させる、というパーソナリティの程よい対立関係があった方が互いの個性は際立ちます。博士とアイのどちらをぶっ飛んだ変人して、またどちらを毒舌的な常識人として描くのかという選択もまた発想力を刺激される一要素だと思います。

 

by 紫仙 (2011-07-29 11:45)


冒頭から登場する微分・積分機という発明品が作品全体に良い味を出していた作品だったと思います。

ただ、作品全体として見るとちぐはぐな感じがあり読後感はあまり良くはありませんでした。

なぜ作品全体がちぐはぐに感じるかということですが、それは所々でキャラクターや設定がかみ合っていないからだと思います。
さらに言うなら最後のオチから作品の構成を考えていった場合、キャラクターや設定がその構成に合っていないと思いました。

 

この話の肝は、「w博士が微分・積分機でアイを二次元にしようとする」という点だと認識しています。
そのため、「戦車や空母の移送に使うはずの機能を、人間を対象に使おうとする」
というのがこの作品の軸であり、それ以外の部分は作品の装飾部分であることになります。

 

そう考えると、必然的に下記のようにいくつかの必須条件が浮かび上がるはずです。
・w博士がアイを鬱陶しく思っている
・アイはw博士の助手をずっと続ける気でいる
・w博士がアイを解雇することはできない
また、それに従ってキャラクターを考えると
・アイは自己中心的かつマイペースなお嬢様で、上司である博士に非協力的である
・博士は天才発明家であるが、アイのマイペースに付き合わされることによるストレスでノイローゼ気味になっている
というような設定が作れると思います。

 

今回の作品の場合では、w博士がアイを疎んじている描写や嫌っている描写が最後を除いて全くありません。
これがもし、「w博士が二次元を愛するあまりアイをも二次元に変えようとする」
という話であったとしても、そこまで二次元を愛しているというw博士像の描写は皆無といって良いでしょう。

 

上記に挙げた数々の設定で考えられる話の流れは川越敏司さんの提示された内容と同じようなものになりますが、
作品の軸をきちんと認識しているかどうかでそれらを装飾する描写も固まってくると思います。
作品の質も向上すると思いますし、作者様の伝えたいことをはっきりさせるためにも、もし次に書くことがあれば作品の軸を意識してみてはいかがでしょうか。

 

by まこん (2011-07-29 21:02)?


ラストが弱いと思いました。
実際にアイが二次元の姿に変えられてしまった終わり方の方が、インパクトがあって印象に残ると思います。

 

by にしはじめ (2011-07-30 10:18)


数学でコメディーとは思いつきませんでした。
数学を利用したオチが、綺麗に決まっていると思います。

 

ただ、設定が多過ぎて途中説明に頼るしかなかったのでは? と感じました。
最初の発想時点の設定から、オチを活かす設定のみに絞ってから書くと、オチのキレが格段に上がるのではないかと感じます。
w博士とアイの掛け合いが笑いを誘う楽しい作品です。
設定を絞って、w博士とアイの描写や会話を増やしたらより楽しくなるのではないでしょうか?

 

数学の知識を分かり易く取り入れてありますね。
硬い文章ではなく、コミカルに描かれていて
大嫌いな数学の部分も理解し易かったです。

 

by せきた (2011-07-30 13:11)


作品のコミカルな雰囲気が好印象でした。微分・積分という自分がちょっと身構えてしまうものがテーマ(主軸)だったのですが、助手のアイが読者のナビゲート役になってるので良かったです。出だしでオチの手前の部分を持ってきて興味を持たせるのも良かったと思います。そしてその後のキャラやバックグラウンドの説明が少し読み辛かったように思います。その理由の一つとして、やはりキャラが似ているせいなのか博士のキャラが弱く感じ、どちらが主人公か分かりずらかったです。(オチを見た感じでは博士でしょうか?)ので、もう少し博士の情報を入れても良かったように感じます。あとアイのキャラも、もう少しわがままだったり、鼻持ちならない所を強調したらと思いました。その他の理由としては、設定の微妙な違和感も感じました。変人で知られる博士、日本のアニメから発想を得て作った発明で苦情が多いとなると、あまり有能でない印象を受けます。その代りヒットは量産せずホームランバッターなのかとも思いましたが。なので大学の教授が助手探しを手伝うくらいなのであれば、過去の発明の成功例を出しても良かったかもと思います。最後にオチですが、発明は壮大のものだけど、こじんまりと目先のもので落とすところは結構好きなパターンなので良かったと思います。ただオチを生かす為にも、キャラ同士の感情、立ち位置をもう少し出せてたら良かったと思いました。

 

by NAGATA (2011-07-30 15:04)


こんにちわ。
まさか数学の「微分・積分」をタイトルにもってくるとは、期待をうらぎってコミカルな内容で、おもしろかったと思います。
これでどんな展開がされるのかと、読むほうもわくわくしてくる作品だとおもいます。

 

気になった点をあげると、先に書かれている方のように、W博士とアイの個性が弱いと思います。どうせなら、個性が強い同士でオタクパワー全開でかけあって欲しかったとおもいます。
それとアイが優雅にお茶を飲み、それを出すW博士。立場が逆転している理由がわからなので、いつからそうなっのか、お嬢様ゆえに、経済的に支援してもらっているから、無碍にできないとかいろいろな理由があれば、もっとすっきりと、物語に入り込めるとおもいます。

 

オチを生かすには、おもいっきってアイを実験につかい、W博士の反応をかかれたほうがより「微分・積分機」の道具にたいしてこだわりを持つ博士の気持ちがわかるとおもいます。

 

by 東雲凜 (2011-08-03 20:28)


ストーリー・人物設定・オチ、どれも私好みの作品で楽しませてもらいました。
ただ、高校で「微分・積分」を習わなかった私にとっては、おいていかれた感があります。
冒頭でアイを読者代表として、「微分と積分じたいがよく分かりませんの」と言わせたのに、その説明が全くなく、a国の話にいってしまったのは残念でした。私は、a国の話・アニメの話の部分を読みながら、頭の片隅で「微分・積分って何だろう?このストーリーを理解できるだろうか?」と考えていました。ですので、中程での微分・積分の説明をもっと早めにしてもらえるとよかったなぁ、と思います。
ラストの2次元→3次元化は夢があっていいですね。「メイド帽がかたむくほどの勢いで、アイは顔をあげた」ほどですから。この部分はきっと冒頭の「助手のアイは冷ややかな視線を返した」に相対しているのでしょう。アイの中で「夢執事」を通して、利用価値を見出した瞬間だと思うので、もっとインパクトのある大げさな表現がいいと思います。
そして、「立体化は可能よ。生きた人間に変えるのは無理」というW博士に対し、「じゃあ、生きた人間に変える機械も作って!・・・お・ね・が・い。」などとウザく接し、新型兵器研究以外には興味のないW博士は、このウザいアイをどうしたものか?と考えラストの3次元→2次元化。というオチの前のワンクッションが個人的にはあると嬉しいなぁ、と思いました。

 

by かよ湖 (2011-08-04 00:09)


スンナリと入って読めました。とても読みやすかったです。
しかし読み終わって「えっここで終わり?」と拍子抜けしました。これから面白くなる。と言う所で終わった気がします。全部語り合うばっかりで実際に微分積分機を一回も稼働させていないのが残念な気がします。
微分積分機のアイデアやアイお嬢さまのひらめきなど素晴らしいと思います。すごくワクワクしました。だから余計にガッカリしてしまいました。登場人物の名前がアイお嬢さまだけ頭文字表記になっていないので複線かなにかオチにつながっているのかという期待もしました。何もないならIお嬢様と表記してもいいような気がします。あと博士とお嬢さまが2人ともオタクなら仲良くなってもいいのに。と思います。博士は変人なのでアイを愛するのに2次元化せずにはいられなかったとか。ホラーになりますね。
架空の国で兵器開発でアニメオタクで貴族令嬢の助手がメイド服で・・とたくさん要素があるのにどれも何かの説明の為の設定に過ぎず活かしきれてない気がします。もったいない。と思いました。

 

by 常夏さわや (2011-08-05 00:51)


5本目から遡りつつ感想を書いてきたのは、この作品があったからなんですよね。
微分積分機?
微分積分が数学の授業に出現する以前に理解を放棄していた僕にとっては謎の言葉でしたから。
だから後回しにしよってね(笑)

 

でもでも、面白かったです。
登場人物のキャラ設定も魅力的ですし、文章も会話もすんなり入ってきました。
アニメシリーズにでもなれば面白そうですね。
でも、もうちょっと何かが起きてほしかったです。
実際に微分積分機を使用した結果とんでもない事が起きて、更に大どんでん返しが…と言うのを期待しながら読みました。

 

そうだなー
例えば、微分積分機に落雷して、爆発した瞬間に地球その物が2次元になっちゃうとかね。
NAGATAさんのおっしゃるこじんまりと落とすのも好きですが、この結末では話の流れの途中で締めくくっている感じがしたんですね。
こじんまりとしたどんでん返し見たいなね。

 

by 海野久実 (2011-08-05 11:37)


タイトルだけではどんな話か全く想像できませんでした。
今風のコメディですね。面白かったです。
2次元のアニメキャラが3次元になったら、みんな恋愛しなくなっちゃうだろうな~。恋愛ゲームにはまっている、うちの娘もね^^

 

このお嬢様のキャラと、タジタジになっている教授がいいですね。
お嬢様は無敵です。
最後の教授のセリフは、思わず本音がでちゃった、ってところでしょうか。
アニメオタクが世界を動かす日が、ホントに来るかもしれませんよ。

 

by リンさん (2011-08-05 18:13)


最初に読んだ感想としては、すごくあっさりした文章だったなと。
出来るだけオーソドックスに味付けをして、シンプルな読み味にしているなと思いました。
狙ってこれをやったのか、それとも、アイデアを詰め込み過ぎたせいでこんな風な文章になっているのかが気になります。

 

それでは良い点をば。
最初に書いたとおり、シンプルで読みやすく、多くの設定があったもののすんなりと頭に入ってきました。例えば、「ここa国では……命じられてしまった」の部分は、自分でもそうなんですけど、アイデアをかけるだけ書きたくなってしまうのだと思います。
それを、ここまで簡潔に書くのには多分苦労したんだなと感じます。
……え?違う?それはすいませんでした(笑)
でも、ここの一部分だけで話の設定がよくわかって、良かったと思います。
他にも、先頭で多くの説明文を入れて、最後の方はキャラ同士の掛け合いがメインになる、という構成の仕方や、起承転結がはっきりしているところも印象に残りました。
お話の作り方が上手いなと感じました。

 

それでは、よろしくない点をば。
まず、キャラの設定を上手く使えてないところです。
変人の研究者であるw博士
お嬢様のくせにオタクで、変人の博士に付き合っている助手のアイ
なかなか、魅力的なキャラ設定だと思います。
ですが、いかんせん、博士の変人度が薄い!(笑)
これだけだと、毒舌助手が人のいい博士に毒を吐いている構図になっています。
それと、冒頭の掛け合いをもっと濃密にして欲しい!
例えば~っていうのは気が引けるのでやらないこととして、冒頭の助手と博士の掛け合いで、思わず大口をあけて笑ってしまうようなものが欲しかったです。
少し掴みが足りなかったなと思います。

 

それと、直感的に思ったことなんですが、これはショートショートというよりは何か長い物語の冒頭の一部を抜き出したような感じを受けました。
まだまだ面白くなりそうなショートショートだったので、もう少し先の話を読んでみたいです。

 

長文、乱文失礼いたしました。
それでは、了

 

by クエル (2011-08-06 17:52)


『微分と積分』を読んで感想を書きます。
微分、積分なんて数学で習ったけど忘れてしまいました。ややこしい計算が出てくる話かなと思って呼んでみたら、W博士もアイお嬢さまもオタクの話、親しみ安く読ませてもらいました。
偉そうに権威的に振る舞うW博士は、助手が直ぐに止めるのに、アイお嬢様が助手になると、お茶も自分で入れるほど気を遣う。アイお嬢様の置かれた環境と人柄がそこに出ていて面白いです。
W博士とアイお嬢様とがよく似ているので、1回目に読んだときどっちがどっちなのか判りづらかったです。それと会話が多いですが、エピソードをいれた方が良いです。
 たとえば、W博士が試しに微分積分機を使い始めた時、アイお嬢様は使い方が全く判らないのに手を出して、大切な立体のモノが平面になってしまい、2人の葛藤があった…みたいな。何だかドラえもんになりそうですが。

 

by 里子 (2011-08-07 15:27)


「数学でコメディ」という着眼点が、非常に素晴らしく好感をもてました。
タイトルを見ただけでは、それと気づくことは出来ませんでしたが、「微分と積分」という思い切ったタイトルだったために、数学が苦手な私でもどんな話なんだろう? と興味が引かれ、いざページを開いてみると冒頭でいきなり出て来る『微分・積分機』という物の正体が知りたくて、一気に読んでしまいました。
オチも自分好みで、読み終わった後ににやりとしました。

 

以下、気になった点を幾つか。
参考までに、次作へのお役に立てれば幸いです。

 

先ず、助手である少女に、「アイ」という名前が付いているにも関わらず、博士や国がイニシャルだったことに違和感を覚えました。
全員に名前を付けるか、いっそ全員名前を出さないかに統一された方が良いように思います。掌編の場合、キャラの名前が登場しないというのもありだと思います。作中に、同じ称号をもつ人が複数登場する場合は無理ですが、この作品ですと博士も助手も国も一人(一つ)ですから問題ないかと思います。

 

次に、他の方も書かれていらっしゃることですが、博士と助手のキャラクターが被っていて、見分けがつきにくいのが難点でした。
恐らくは(違っていたらすみません)、オチとその前振りのためにどちらもアニメに精通しているという設定にされたんだと思いますが、「オタクをひとくくりにされましても」というアイの台詞を考えれば、『博士はアニメ好き・アイは漫画オタク』でも良かったかな、と思います。私なんかがそうですが、「漫画は読むけどアニメは見ない」というオタクも存在しますので、厳密にいうとアニメオタクと漫画オタクは別物です。もちろん、同じだと感じられる方もいらっしゃいますでしょうが、その分かる人には分かるという微妙な違いを出せていたらアイの先の台詞も生きてきたんじゃないでしょうか?
また、アイのエキセントリックさの演出として、その国では貴族が漫画(アニメ)を嗜むことははしたないこと、もっと極端にすればその国自体に漫画(アニメ)の文化がまったくない(だから博士は日本のアニメから発想を得ている)、という設定があっても面白かったと思います。もちろん、少し考えれば貴族がオタクという時点で問題なのは分かりますが、やはりコスプレで登場するというだけではインパクトが弱いと感じました。

 

最後に、タイトルにもありますから、この作品の主軸が「微分と積分」であることは分かります。でも、果たして作中で微分と積分に関する正しい説明をきちんとする必要性はあったでしょうか?
例えばですが、冒頭を機械が完成したことに喜ぶ博士と、それを冷ややかに見る助手というシーンからではなく、研究室にやって来た助手がぺらぺらの何か(椅子でも掃除機でも何でも)を見つけたところに博士が登場し、「それこそ『微分・積分機』の威力よ!」と胸を張るというところから始まれば、微分と積分の説明を半分ぐらいカットしても、それで読者が「だから、微分と積分って何よ?」となっても、取り敢えず微分と積分の力でそういうことが出来る、という認識を冒頭から植えつけることが可能だったように思います。
高校時代の教師が言った言葉さえ覚えている、というのはアイの優秀さを物語ってもいますが、「公式はすべて丸暗記」という部分だけでも充分表せていたように感じましたので。
それで、余った文字数で、博士が助手を疎んじている伏線(例えばですが、博士の発明品に対しアイが「くだらない」と呟くなど)やら、何か他エピソードが盛り込めていれば、もっと作品に深みが出たように思います。

 

以上、長々と偉そうに書き綴って参りましたが、自分の引き出しでは先ず書けない(思い浮かべない)本当に素敵な作品だったと思います。
ありがとうございました。

 

by マイマイ (2011-08-08 23:30)


すみません。微分積分を習ったのが遠い昔で、何に使うものかあまり覚えていません。が、そんな私でも十分楽しめる作品でした。
お嬢様と博士の関係が実際の社会にも存在するからです。自分では権力を傘に来ていないと言いながら、ちゃっかりその上にあぐらを掻いてる人いますよね。
私はこの作品のオチは好きです。鼻持ちならないお嬢様が目の前にいれば、二次元でも、どこへでも行ってくれ!と思うのが普通だし、三次元を二次元化する案をお嬢様自らが提案する辺り、自分の首を絞める感じが面白かったです。人の心の機微って大切ですね。
ただ、最後のオチに持って行くには、博士とお嬢様の気持ちのずれを書いたエピソードが少なかったように感じます。
例えば、博士が「コーヒー入れてよ」と頼めば、お嬢様は「今時、助手にお茶汲み、コピーをやらせてる所なんてないですよ。ご自分でどうぞ」と一蹴したり、博士の私生活に駄目出ししたりと、やりたい放題のお嬢様と、貴族の娘だから強く言えず我慢する博士という構図を作れば、最後のお嬢様を二次元化するときの、博士の復讐にも似た黒い部分が際立つのでは?と思います。
コメントを書いていて普段の自分って?と思い返しへこんで来ました。人の恨みが一番怖いですよね。
この作品は私にとって、5作品中、一番共感できる作品でした。

 

by 西ノ宮 ラジオ (2011-08-11 03:11)




05『微分と積分』(夏目みい子さん)への講評


『微分と積分』(夏目みい子さん)への講評


 みなさん一致されていましたが、博士とアイのキャラがかぶっているとの指摘はぼくも同感です。感想をリードされた川越さんの指摘はするどいと思います。前半部を冗長に感じた方が多いのも、キャラのかぶりが原因だと思います。キャラの方向性を正反対にすることができれば作品に緊張感が生まれますし、西ノ宮ラジオさんが欲しいと思われた「博士とお嬢様の気持ちのずれを書いたエピソード」も自然と挿入されていたと思います。
 
 まこんさんの作品の軸を考えるというのもいい指摘ですね。まこんさんが考えられた作品の肝を実現するための必須条件も、ひとつの案として納得できると思います。また、マイマイさんが冒頭で微分積分機を稼働させるアイディアを披露して下さいました。冒頭で機械が活躍すれば、物語の導入がさらにスムーズになったと思います。
 
 改善案の提示としては藤川Sさん案に引かれました。博士は2次元を3次元にしたいのですが、アイは3次元を2次元にしたいと、お互いに逆方向を向いているというはいかにもショートショートらしいアイディアです。冒頭から3次元を2次元にする話がメインになっていますので、これらを全て伏線として包み込んでしまう素晴らしいアイディアだと思います。
 
 最後に自分の感想を書きます。
 ぼくが最初に気になったのは、主人公がどちらか分からないことです。冒頭はアイですが、その後はW博士と一定していません。作品的にW博士を主人公に固定するのが書きやすいかなと思いました。
 また、アイとW博士が一緒に仕事をする理由付けにも苦労している印象があります。いろいろと設定を追加したために、ゴタゴタした印象を受けた方も多いと思います。ここはオチから逆算して、不必要な設定を削除すべきかなと思います。例えばですが、博士を変態マッドサイエンティスト、助手を普通に可愛い人とします。ここからは藤川Sさんのアイディアを活用いたしまして、博士は変態なので助手を2次元化しようとしますが、助手はアニメキャラを3次元にして反撃するというオチです。なぜ助手が変態博士の元にいるかといえば、博士がシツコイのと、あとは微分積分機を逆用してマッチョ系キャラを3次元にしたかったと(助手もある意味変態であった!)いう感じです。
 
 最初に掲載した作品なので、手探りの感想が多いと予想していたのですが、みなさんガッツリとした感想を書いて下さいました。主催者といたしまして、うれしい誤算です!

 



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