目次
まえがき
まえがき
ブックレット版まえがき
目次
第一部「迷走する両立支援」が投げかけたもの/ 仕事と育児の両立支援の現在
ごあいさつ・登壇者紹介
ひとつのツイート
「ワークライフバランスで解決」?
個人ではなく社会のありよう
答えは簡単に出ない
育児休業取得率:女性85.6%、男性1.72%の横顔
育児休業取得率:女性85.6%、男性1.72%の横顔(その2)
非正規雇用では未だ女性が7割
子育て期に増加する労災請求件数
見直すべきは男性の働き方
第二部 個人と社会、企業と政治 ── 何が、この国の両立支援を阻んでいるのか
「両立」と「均等」をつなぐ回路がない
働き方全体を見直すべき
両立支援と均等推進
間接差別とは?
仕事と生活の調和行動指針(スライド7)
世論の盛り上がりがないと…
育休を男性が取ることの意味
女性を管理職にできない理由
EUの「レスト」とは
非正規に支えられている「両立」
男性にも負担が大きい時代
第三部 会場とtwitterによるQ & A / 一人ひとりの決意表明 tweet
「ジョブ」ではなく「立場」
会場からのQ&Aコーナー
セーフティネットがない国
雇用があるだけまし?
参加者のみなさんの決意表明
登壇者 終わりのごあいさつ
アンコール
待機児童の問題は「首都圏ローカル」
幼保一体化の議論
Q&Aつづき
最後に…明るい気持ちで仕事と育児を
用語解説
用語解説
あとがき
登壇者 山口さん 対談を終えての感想
wlb_cafe スタッフによる編集後記
「迷走する両立支援」著者 萩原さん メッセージ
奥付
奥付

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まえがき

「迷走する両立支援」は2006年に出版された本です。

この本の目的は、仕事と家庭の両立支援について追い風の中で、いまなお職場を去る正社員の母親が後を絶たないのはなぜか、両立生活の渦中にいる働く母親は両立をどう体験し、支援は何をもたらしたのか、それを探ることです。

2009年にこの本を読んだ私は、ほかの本とは全くレベルが違うという印象を持ちました。仕事と育児の両立支援と、男女雇用機会均等推進とが「つながっていない」と指摘してくれたのは、私にとってはこの本が初めてでした。

2010年3月、一人のワーキングマザーがTwitterで両立の悩みをつぶやいたことに反応してこの本を紹介したところ、多くの人がこの本を読んで感想をつぶやきはじめました。数名がブログで感想を書いたことでより読者の輪が広がり、読後のもやもや感を共有するコミュニティが存在するかのようでした。
 このひとかたまりの読者の存在と彼らの感想を、本を書いた人に伝えなければならない、という思いに突き動かされ、著者の萩原久美子さんとコンタクトをとりました。そして、できればお会いしてお話を聞きたいとお願いしたところ、快諾いただきました。5月初めのことです。
 さっそく交流会を企画するための有志をTwitterで募ったところ、約10名の子育て中の男女が集まりました。毎週土曜の夜にTwitter上でワークライフバランス・カフェを始めたのは、このメンバーの発案&運営によるもの。こういった活動を通じ、今まさに問題を抱えている人たちの関心を集めていきます。

2010年10月、ライフネット生命株式会社様による全面的なご協力を得て「迷走する両立支援」対談&著者と読者の交流会の開催にこぎつけました。対談相手にイクメンプロジェクトの仕掛人の一人である厚生労働省の山口正行氏をお迎えし、問題点の共有と解決への課題について本質的な議論が実現。会場に集まった30名と、USTREAM中継によって、会場に来られなかったその何倍もの方に、その模様を届けることができたのです。

この貴重な対談の内容をぜひ記録に残したいと思い、まとめあげたのが本書です。専門用語の解説がついていますので、両立支援のことを詳しく知らなくても、「迷走する両立支援」を読んでいなくても、理解できる内容になっています。

仕事をしながら子育てをしている方、これから子どもを持とうと考えている方、組織においてダイバーシティマネジメントやワークライフバランスの推進を担当している方に、ぜひ読んでいただきたいと思って作りました。少しでも皆さまのお役にたてれば幸いです。

2012年1月
育休後コンサルタント
当交流会・司会
山口理栄

1
最終更新日 : 2012-12-29 17:52:49

ブックレット版まえがき

ブックレット版を発行するにあたり


本書の電子版を作成した際に、
ネットへのアクセスをあまりしない方にも
届けるため、ブックレット版を発行したいという思いがありました。
印刷のための寄付を募り多くの方にご協力いただいた結果、ブックレット版の
発行にこぎつけることができました。本当にありがとうございます。

今回新たに用語解説を巻末に追加しましたが、本文は電子版と同じ内容です。
お手にとっていただき、この本を必要とする方といっしょにご覧いただけましたら
幸いです。

Twitterを初めとしたソーシャルメディア上で交流のあった多くの方たち、
実際にご協力いただいた方たちに、改めてお礼を申し上げます。



2012年10月
 山口理栄

2
最終更新日 : 2012-11-26 02:15:03

目次

まえがき  1
ブックレット版まえがき  2

第一部「迷走する両立支援」が投げかけたもの/ 仕事と育児の両立支援の現在
ごあいさつ・登壇者紹介  4
ひとつのツイート  5
「ワークライフバランスで解決」?  6
個人ではなく社会のありよう  7
答えは簡単に出ない  8
育児休業取得率:女性85.6%、男性1.72%の横顔  9
育児休業取得率:女性85.6%、男性1.72%の横顔(その2)  10
非正規雇用では未だ女性が7割      11
子育て期に増加する労災請求件数 12
見直すべきは男性の働き方 13

第二部 個人と社会、企業と政治 ── 何が、この国の両立支援を阻んでいるのか
「両立」と「均等」をつなぐ回路がない 14
働き方全体を見直すべき 15
両立支援と均等推進 16
間接差別とは? 17
仕事と生活の調和行動指針(スライド7) 18
世論の盛り上がりがないと… 19
育休を男性が取ることの意味 20
女性を管理職にできない理由 21
EUの「レスト」とは 22
非正規に支えられている「両立」 23
男性にも負担が大きい時代 24

第三部 会場とtwitterによるQ & A / 一人ひとりの決意表明 tweet
「ジョブ」ではなく「立場」 25
会場からのQ&Aコーナー 26
セーフティネットがない国 27
雇用があるだけまし? 28
参加者のみなさんの決意表明 29
登壇者 終わりのごあいさつ 30

アンコール
待機児童の問題は「首都圏ローカル」 31
幼保一体化の議論 32
Q&Aつづき 33
最後に…明るい気持ちで仕事と育児を 34

用語解説

あとがき
登壇者 山口さん 対談を終えての感想 35
wlb_cafe スタッフによる編集後記 36
「迷走する両立支援」著者 萩原さん メッセージ 37

3
最終更新日 : 2012-12-29 16:52:25

ごあいさつ・登壇者紹介

司会:皆さん、こんにちは。今日は休日にもかかわらずお越しいただき、ありがとうございました。ただいまより、『迷走する両立支援』対談&著者との交流会を始めます。私は本日の司会を務めます、山口理栄と申します。よろしくお願いいたします。USTREAMの中継も始まっています。
それでは、早速、今日対談をしてくださるお二人を紹介します。『迷走する両立支援』の著者、生活経済政策研究所主任研究員でジャーナリストの萩原久美子さんと、イクメンプロジェクトの仕掛け人の一人、厚生労働大臣政務官秘書官の山口正行さんです。まず、萩原さん、自己紹介をお願いします。

萩原:皆さん、はじめまして。座ったままで失礼します。萩原と申します。今日は読者との交流会ということで本当に光栄です。筆者としてこんなうれしいことはないと思っています。皆さん、読んでいただいて本当にありがとうございます。
私はそもそも新聞社で働いていたんですけれども、その後、フリーでものを書いたり、今は大学を中心に、主には労働社会学と社会調査法などを教えたり、あと研究者として研究所に籍を置いて研究したりしています。皆さんがおそらく一番聞きたいことだとは思うんですけど、子供はいるのか、と。実は書いた時点で、子供は小学校高学年くらいだったんですが、今は、早いもので高校生になりました。
自己紹介というとその程度になるわけですが、新たな出会いをいただいたことを心から感謝しています。何よりもやっぱり今回驚いているのは、この本は、4年前(2006年)に出した本なんだということです。本という媒体は、ある意味、非常に長期的な息の長い媒体であり、古くからある媒体であるわけです。一方、私は新聞社の出身なので、非常に速報性のあるスタイルでもって書き急ぐ。今のことを書かなくてはと取材し、原稿に向かっていったわけですけれども、編集者の北山理子さんが、「萩原さん、急ぐことないんだ」と。「これは長期的なメディアなんだからじっくり書けばいいんだ」と言ってくれたんですね。それがとてもありがたかった。そしたら、それが今度は、ものすごく瞬発性のあるネット上のソーシャルネットワークでパッとつながって…。この、メディアの重層性も感じますし、その重層性の中で皆さんとこの本が共有されたっていうのは、繰り返しますけど、今の時代の変化みたいなことも含め、驚いています。
ですので、今日はそういう新たな出会いの場で皆さんと一緒にいろいろ考えていきたいと思いますし、改めてご意見を頂戴できたらと思います。

司会:ありがとうございました。続きまして、山口さん、自己紹介をお願いします。

山口:はい。山口正行と申します。本日はこのような場に招いていただいて大変光栄です。イベントスタッフの皆さん、ありがとうございます。
私は1976年に生まれまして、1999年に当時は厚生省だった厚生労働省に入省しました。その後、2002年に結婚をして、その年に留学、その翌年には長女を授かりまして、アメリカで1年間、勉強と育児の両立をすることになりました。上の子が1歳になるまでは学生として1年間を一緒に生活することができました。2004年にこちらに戻ってきまして、雇用保険の担当などをした後に、2008年の7月から今年(2010年)の8月まで職業家庭両立課というところに配属になり、今回の育児・介護休業法の改正に主に携わりました。
実際には、具体的に法律の条文を書いたりなどしました。それから、ご紹介のあった「イクメンプロジェクト」という、男性の育児休業を進めていこうというプロジェクトを立ち上げて、その運営に携わりました。その後、この8月(2010年8月)に異動になりまして、今は、厚生労働大臣政務官という、厚生労働省のトップとして入っている政治家の方にお仕えをする秘書官という仕事をしております。
ちょっと前後しますが、第二子になる長男が2009年の10月に生まれまして、そのときに育児休業を約1ヶ月間取りました。「イクメンプロジェクト」を進めつつ、自分でも育児休業を取ってその良さを皆さんに伝えていけるという仕事ができるのは、非常に恵まれているなあと思ったこともあり、今回この場に招いていただいて本当にうれしく思います。
今日の会は私自身もすごく楽しみにしていますので、本音で話したいと思います。今日お話しすることは私の個人の見解で、組織の見解とか役所の見解などではありません。私の個人的な思いも含めてお話したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。


* 登壇者・司会者のプロフィール

萩原久美子(登壇者)
生活経済政策研究所主任研究員、ジャーナリスト
読売新聞記者を経て現職。 UCバークレー労使関係研究所客員研究員(2000-2001年)、 都留文科大学非常勤講師(2006-2009)。
著書に
『社会政策のなかのジェンダー』(2010、共著、明石書店)
Poor Women In Rich Countries (2009、共著、Oxford University Press)
『「育児休職」協約の成立――高度成長期と家族的責任』(2008、勁草書房)
『迷走する両立支援』(2006、太郎次郎社エディタス)
など。

山口正行(登壇者)
厚生労働大臣政務官秘書官/前・厚生労働省職業家庭両立課課長補佐
1999年厚生省(現厚生労働省)入省。2008年7月から2010年8月まで、育児・介護休業法の改正やイクメンプロジェクトの推進に携わる。2児の父。自身も2009年10月に1ヶ月間の育児休業を取得。
厚生労働省 イクメンプロジェクト
http://ikumen-project.jp/

山口理栄(司会者)
育休後コンサルタント
1984年総合電機メーカー入社。ソフトウェア開発部署にて基本ソフトウェアの開発に従事。2006年4月に社内のIT部門で発足したダイバーシティ推進プロジェクト初代リーダーに就任。2010年6月から現職。
育休後コンサルタントホームページ
http://1995consultant.com

ワークライフバランス・カフェ(イベント企画・運営)
このイベントは、働く父・母親10名によるボランティアで運営されています。
毎週土曜日に開催のツイッター上の交流会「ワークライフバランス・カフェ」のなりたち・運営についてはこちらをご覧ください:
「こども達が眠ったら、本音で話そう!」 土曜の夜は、ワークライフバランス・カフェ twitter分室へ 
http://d.hatena.ne.jp/WLB_cafe/20100523/

ライフネット生命保険株式会社(協力)
ライフネット生命保険は「20代、30代の子育て世代の生命保険料を半額にすることで、安心して赤ちゃんを産み、育ててほしい」という思いで立ち上げた会社です。働く父・母親の育児についての情報を発信する“Lifedoor(ライフドア)” というブログサイトを通して、ワークライフバランス・カフェと今回のイベント企画をサポートしています。
ライフネット生命保険株式会社
http://www.lifenet-seimei.co.jp

4
最終更新日 : 2012-12-29 18:21:15

ひとつのツイート

司会:どうもありがとうございました。それでは、第一部「『迷走する両立支援』が投げかけたもの/仕事と育児の両立支援の現在」に移りたいと思います。最初に、今日このイベントが開かれるようになったいきさつをご紹介します。
今年(2010年)の3月、Twitter上でこんなつぶやきが流れました。

「数年以内に昇進しないとクビが涼しくなるといった類のことを言われた。昇進する=責任が重くなる=定時退社は無理ってことも。次男はまだ4歳。数年後の身の振り、あるいは会社の変え方を考えなくては」

このツイートをされた方は女性です。これを見て、1年前に読んだ『迷走する両立支援』の中に同じような境遇の方がたくさん紹介されていたことを思い出し、この本が参考になりますよと返事をしました。すると、他にもこの本を読んだという方や、読みたいという方のツイートがどんどん増えていったのです。例えばとてもいい本だったけれど気分が重くなった覚えがあるとか、思い当たる節がありすぎて胸が痛みますとか、そういった感想が次々と出てきました。
スライドでもご紹介していますが、『迷走する両立支援』のTogetter(※)というものを作りました。そうしたら今度はそのページの閲覧者数が500というように、みるみるうちに増えていったので自分自身でもすごくびっくりしました。

たぶん本を書いた萩原さんは、こんなに話題になっていることを知らないでしょう。出版されてから4年も経っている現時点での反響をぜひ著者に伝えたいなという強い思いがありました。そこで出版社の太郎次郎社エディタスの編集部にコンタクトを取りました。本の後ろに書いてあるメールアドレスにメールを出して、萩原さんの連絡先を教えてください、と。本日も会場にお越しいただいている編集の北山様が教えてくださって、萩原さんにメールを出しました。
そうしたら次の日になんと萩原さんから電話があり、私が交流会をしたいとメールに書いたことについて「ぜひ」とお返事をいただきました。交流会をするとなると、自分一人ではちょっと荷が重いということで、Twitterでこの本を読んだ人たちに呼びかけてみたんです。一緒に萩原さんと読者の交流会を企画しませんか?と。そうしたらメンバーとなる面々をはじめいろいろな方が手を挙げてくださって、この企画を運営しているメンバーが5月の中旬に集まるに至りました。
萩原さんのご都合もありすぐには交流会を開けないということがわかったので、開催までは、Twitter上で決まった曜日、決まった時間に集まっていろいろ意見交換をするというワークライフバランス・カフェのようなことをやってみようということになりました。5月29日から10月23日の前夜祭まで全部で14回。毎回テーマを決めて、土曜日の夜10時から12時までの2時間に#wlb_cafeというハッシュタグを使って、みんなで話し合う場を設けたのです。
実際に萩原さんとお会いしたのは8月で、そのときに10月に交流会をやりましょうと決めて、9月には山口正行さんとお会いして、今日に至ります。これほどまでに息長く私たちの心を揺さぶる『迷走する両立支援』という本を萩原さんがなぜお書きになったのか、そのきっかけと、この本で読者に伝えたかったことは何なのかというのをお話いただけますでしょうか?

※Togetter(トゥギャッター):Twitterのツイートをテーマごとに抜き出しまとめられるツール。 
該当のページは、『「迷走する両立支援」萩原久美子著-働く母が抱えるもやもやの核心に迫る問題作を読んでみた』
 http://togetter.com/li/11195

5
最終更新日 : 2012-12-29 18:23:36


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