閉じる


<<最初から読む

8 / 22ページ

金魚鉢

公園で。隣に座った男の頭は金魚鉢だった。鉢には流木が沈められており水草が揺れていた。目をみはり私は言った。……「綺麗な水ですね。透明だ」……男は驚いたようだった。不躾だとは思いつつ、私はさらに尋ねた。……「そのう。金魚は飼わないのですか?」……水面に波紋が広がった。

……「金魚鉢。そうかもしれませんね。すべては金魚鉢と言えないこともない。人は金魚鉢に住まい、たとえ金魚鉢を出ても。また金魚鉢。無限の金魚鉢の重なり。それが人生」……そう言って金魚鉢男が立ち上がると、逆光に鉢が輝いて見えた。……「いってみただけです。お気になさらないで」

 


鏡と瞳と美人

鏡は恐ろしい。禍々しい物語に引き込まれそうな気がするから。だが人の瞳はそれ以上の何かだ。人の目は恐ろしい。でも美人さんは、それらと相性がいい。美人さんは鏡と人の視線よって彫刻されたのではないか? …… 鏡 < 瞳 < 美人 ……の順番で恐ろしい。


 

  


ゾンビの小指

ゾンビ達はお互いに好感を抱いていた。でもどう愛を表現すればいいのか、よく分からなかった。ある日。女ゾンビは思いついた。彼女は自分の左の小指をボキリとへし折ると、男ゾンビに手渡したのだ。男ゾンビは何ごとかと考えこんだ。空を見て、渡された指を口に放り込んだ。もぐもぐ。

   

 

   


愚者のカード(しっぽつき)

恋は盲目。日頃、われ関せずとクールな彼女も。見事な愚か者になる。愚者のカードは熱狂。そんな季節なのだ……とはいえ。ほんと困ったものだ。春のネコ
 

唱えよ

お話を書いていて急に目眩がした。自分がよそよそしく感じられ、まるで赤の他人。こっちがお話の登場人物みたいだ。デジャヴはデジャヴに重なり、踏みしめるべき大地は霞んで見えない。他人の私が呪文を思い出そうとしてる。唱えよ!……とっぴんぱらりのぷ……
 


読者登録

kanarihikokumaさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について