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             第一章 康子の場合

 

          第二章 美津江の場合

  

          第三章 伸也の場合

 

          第四章 稲葉の場合

 

          第五章 再び康子

                

          第六章 寛樹の場合

  

             終章


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第一章  康子の場合 (六の一)

  パチンコ店のネオンが、無地のカーテンに光模様をつくっていた。

   チカチカと色を変えて、あちらこちらと飛んでいる。

 一人暮らしの部屋に戻って来た時、動きのあるものに出迎えられるのはホッとする。たとえ、それが人工ネオンでも、静寂な空気が息づいている気がする。

 康子はスポーツバッグを板間におろした。

 六畳の真ん中に炬燵とつながった万年床、窓際の両隅壁には四段のカラーボックスがすえられ、一本のポールがまたがっている。洗濯物干場として利用しつつ、洋服掛けにもなっている。

 それがこの一間にあるすべてだった。

 整理ダンスやテレビ、勉強机もなく、まして飾り物類などは何ひとつなかった。押入にも、扇風機と衣装ケースが二つあるだけだ。

 目的達成のために、無用なものにお金を使わない。そう決意している。

 康子は炬燵のコンセントを差し込み、コートを着たまま潜り込んだ。

 帰郷のために使った交通費が無駄に終わった……。

 その思いが強く、どっと疲れが出る。

 


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